長谷寺便り

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出展宝物紹介

D重要文化財 銅錫杖頭(どうしゃくじょうとう)
 鎌倉時代



 銅錫杖頭は、鎌倉時代に鋳造された2本の錫杖の頭部で、「建長三年(1251)八月一日」・「大勧進定阿弥陀仏」という銘が刻まれています。定阿弥陀仏とは、建保七年に長谷寺が火災で全山焼失した際に勧進聖として諸国を巡り、活躍した僧侶です。
 そもそも錫杖とは僧侶必須の持ち物であり、山野で修行をする時に音によって獣や毒蛇などを追い払ったり、托鉢の際に街中で来訪を告げる時などに用いられていました。
 長谷寺においては、ご本尊十一面観世音菩薩が錫杖を持つ特殊なお姿をしており、全国各地にもいわゆる「長谷型観音」と言われる同様のお姿の観音像が祀られています。また、朝勤行の始めに「九條錫杖経」という錫杖の功徳を讃えるお経を、シャンシャンという音色と共にお唱えしています。
 錫杖は長谷寺にとって特別な法具です。あべのハルカス美術館にお越しの際には、この銅錫杖頭が700年以上の長きにわたって守り伝えられて来たこと、そして今もなお錫杖の音が初瀬の山々に鳴り響いていることに思いを馳せてご覧いただければと思います。

 以上、5回にわたってあべのハルカス美術館に出展する宝物のご紹介をさせていただきました。「長谷寺の名宝と十一面観音の信仰」展には、今回紹介できなかった多くの絵画・仏像・工芸品等が他にもたくさん展示されます。普段ほとんど目にすることのできない宝物もございますので、ぜひこの機会に美術館へ足をお運び頂ければありがたく存じます。

あべのハルカス美術館

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